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依然として多重債務問題は深刻

改正貸金業法の完全施行により、マスコミでは総量規制の話題ばかりが取り沙汰されている。しかし、むしろ問題視されるべきは、依然として数多く存在する多重債務者の問題であろう。現在、景気の動向にかかわらず、ある一定の数で貧困層は推移しているのが現状だ。かつてのように、景気が好転すれば有職者の収入が増え、低所得者層や貧困層が減少するといった図式が通用しなくなっている。たとえ景気が好転したとしても、企業の生産性や収益力が低下している現状では、雇用人数の劇的な拡大というものは、まず期待できないと考えられる。実際、近年の雇用状況を見ても、雇用が増加した場合でもそれは即戦力となる経験者を対象としたものが中心であり、新卒者や未経験者の雇用はほとんど改善していないという実態である。

最近になって、一部大手メーカーなどが雇用状況の見直しを図るなどの改善策も見られるが、まだ全体としては厳しい環境にあるといえる。こうした状況の中で、多重債務など借金の返済が困難な状況が数多く見られる。クレジット会社やローン会社などが加盟する信用情報機関シー・アイ・シーが公表した、二〇一〇年五月度の貸金情報統計によれば、貸し付け実績のある残高有り人数が一五二七万人。そのうち、三ヶ月以上の支払い遅滞を示す異動情報人数が四一一万人もいるとなっている。また、消費者金融などが加盟している信用情報機関JICCの公表では、残高有り人数が一五四五万人で、うち異動情報人数が四六七万人である。

すなわち、両者を合わせると実に九〇〇万人近くの人々が借金返済の困難な状況にある可能性が高いということになる。双方で重複している債務者がいると仮定しても、八〇〇万人を下ることはないと考えられる。だが、これはあくまで統計的な数字に表れた人数にすぎない。実際には、多重債務などで借金返済に苦しんでいる人々の数は、それよりもはるかに多い可能性が高いことが予想される。借金苦というと、返済が長期にわたって滞り、業者からの催促などが続いているような状況と思われがちだが、実際には滞りなく返済できているように見えながら、家計や収入から点検してみると、非常に厳しい状況にあるケースも稀ではない。そうしたケースが多いことを考えれば、借金に苦しむ人は全国で一〇〇〇万人をはるかに越えることが十分に考えられよう。