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債務整理二次被害の深刻度

債務整理の長所は、任意整理で残債の減額や過払い金の発生などを期待できる半面、「いったい費用がいくらかかるのか」ということが、実際に債務の状況を具体的に点検してみなければわからない上に、弁護士や司法書士による費用の表現の仕方もまちまちなので、なおさらわかりにくいという状況になっている。しかも、懇切丁寧に説明してくれるとは限らない。「要するに、これだけの費用がかかります」と金額を提示されて、予想以上に高いので驚くことも少なくない。また、とくに不正なことではなくとも、何かにつけて費用を請求されるケースがあり、「これでは以前と変わらない。借金の返済が、債務整理の費用の支払いに替わっただけ」という、笑えない話も出てくる。だが、もし借金の返済がなくなっても、債務整理の費用の支払いで苦慮するようになってしまったら、それは何の解決にもならない。

そして、その点について弁護士や司法書士が無感覚、無関心であるとしたら、それこそ債務整理など何の意味もない。そして、こんな意見もある。「カード会社などは、事情を話せば支払いをいくらか待ってくれる。でも、ある弁護士事務所に相談に行った時にもらったパンフレットには、『弁護士費用は分割可。ただし、一度でも支払いが遅れるようなことがありましたら、ただちに債務整理をストップします』なんて書いてあってびっくりしました」さらに、実害を伴うような例もある。ジャーナリストの北健一氏が、身近にあった話として次のように話す。「知り合いの弁護士から聞いた話なのですが、ある人が五件ある債務のうちの三件をある司法書士に債務整理を頼んだところ、『整理したら債務がちょうどゼロになった』という連絡が来たというんです。

そして、残りの二件の債務整理を頼みに、その弁護士を訪れた。そして話を聞いた弁護士は、すぐにおかしいと気づいたんです」任意整理などの場合、うまい具合にぴったりゼロになんてならないのが普通である。いくらかの債務が残るか、過払い金が発生するか、そのいずれかである。そこでピンときだ弁護士は、その司法書士に明細を出すように求めた。「するとその司法書士は急に態度を変えて、『当方が勘違いしていました』などと言って、過払い金があったことをあわてて言い出したんです」すなわち、その司法書士は、過払い金が生じたことを依頼者に伝えなかった。おそらく、着服してしまうつもりだったであろう可能性が高い。

この場合は司法書士だったが、弁護士が同じことをやっているケースも十分に考えられる。実際、債務整理二次被害の電話相談の中にも、「十五年間も返済を続けてきたのに、過払い金はないと言われた」(大阪)というケースもある。十五年前といえば、まだ出資法における金利の上限が四〇・〇〇四パーセントの時代である。その頃の契約なら、消費者金融などが二九パーセントから三五パーセントという高金利を設定していた時代である。当然、過払いが発生している可能性が高い。本多氏も「依頼者に黙って過払い金を懐に入れてしまう弁護士や司法書士はいるだろう」と話す。しかも、そうした悪質ともいえるような例は、実際にかなり数多く発生している可能性がある。「こうした債務整理二次被害は、本当に発覚しにくいのです。

そもそも、依頼者は相談に来た時点では、過払い金が発生するかどうかなんてわからない。債務のことで法律家の事務所などへ相談に訪れる人というのは、とにかく借金苦から逃れたい、返済をどうにかできないかというケースばかりです。だから、弁護士や司法書士が告げなければ、過払い金が生じたかどうかなんて到底わからないし、素人である依頼者には確認のしようもないのです」にもかかわらず、「過払い金返還以外の処理はお断り」と明確に提示する弁護士や司法書士もいるというから驚きだ。すなわち、過払い金が発生すれば、着手金や成功報酬に加えて過払い報酬も生じる。つまり、「より儲かる」「うまみのあるケース」しか手をつけないということである。